駐機中の飛行機が動かしている、もう一つのエンジン

おはようございます。
搭乗橋を歩いているとき、機体の後ろのほうから「キーン」という音が聞こえてくることがあります。翼の下の大きなエンジンは、まだ止まっているのにです。
今日は、あの音の正体についてお話しします。
尾部に、小さなエンジンがあります
多くの旅客機は、機体のいちばん後ろに小さなエンジンを積んでいます。APUと呼ばれる装置です。日本語では補助動力装置といいます。
飛ぶための推力は出しません。役割は、電気を作ることと、圧縮した空気を送り出すことです。
翼の下についている主エンジンは、飛ぶための装置です。地上で止まっている飛行機に電気と空調を供給するためだけに回すには、大きすぎますし、燃料も使いすぎます。そこで、そのための小さな装置を別に積んでいます。
三つの仕事をしています
APUがしていることは、大きく三つです。
- 電気を作る:機内の照明、調理設備、操縦室の計器などに電気を送ります
- 空調を動かす:圧縮した空気を送り、客室を冷やしたり暖めたりします
- 主エンジンを回し始める:出発のとき、圧縮空気で主エンジンを回転させ、始動させます
夏の暑い日、乗り込んだ機内がすでに涼しくなっている。あれはAPUが働いているからです。
止めていることもあります
APUは便利ですが、燃料を使います。音も出ますし、排気も出ます。
そのため多くの空港では、駐機中は地上の電源設備につないで、APUを止めるようにしています。搭乗橋から太いケーブルが機体につながっているのを見たことがあるかもしれません。あれが地上からの電源です。空調も、地上から冷たい空気を送り込む設備がある空港があります。
地上設備が整っていない駐機場所や、設備が使えない状況では、APUを使います。
空の上でも使うことがあります
APUは地上専用ではありません。飛行中でも動かすことができます。
主エンジンの発電機に不具合が出たとき、APUを始動して電力を補う。こうした使い方ができるように作られています。ふだんは使いませんが、備えとして積んでいる面もあります。
前に書いた双発機の話ともつながります。何かが一つ止まっても飛び続けられるように、代わりになるものが用意されている。APUもその一つです。
おわりに
搭乗のとき機体の後ろから聞こえる音は、APUという小さなエンジンのものです。主エンジンを止めたまま機内の電気と空調をまかない、出発時には主エンジンを始動させます。
燃料を使うため、地上の電源設備が使える空港では止めていることもあります。飛行中に電力を補う備えとしての役割も持っています。




