横風の日、飛行機が斜めを向いて降りてくる理由

おはようございます。
空港の展望デッキで、着陸してくる飛行機を見ていると、風の強い日は様子が違うことに気づかれると思います。機体が滑走路に対して斜めを向いたまま、近づいてくるのです。
今日は、あの姿勢についてお話しします。
まっすぐ向けると、横にずれていきます
飛行機は、空気の中を進んでいます。その空気そのものが横に流れていれば、機体も一緒に流されます。
川を泳いで渡るところを思い浮かべてください。対岸の目標にまっすぐ体を向けて泳ぐと、流れに押されて下流に着いてしまいます。目標にたどり着くには、少し上流に体を向けて泳ぐ必要があります。
飛行機も同じです。滑走路にまっすぐ機首を向けると、風に押されて滑走路の脇にずれていきます。そこで機首を風が吹いてくる側へ少し振り、機体が実際に進む方向を滑走路に合わせます。
結果として、外から見ると斜めを向いたまま近づいてくるように見えます。カニが横に歩く姿に見えることから、そう呼ぶ人もいます。
接地の直前に、向きを戻します
ただし、斜めを向いたまま接地することはできません。
車輪は機体の向きにしか転がりません。斜めのまま滑走路に着ければ、車輪は横向きの力を受けます。機体にも脚にも無理がかかります。
そこで接地の直前、地面がすぐそこという高さで、機首を滑走路の向きへ戻します。同時に、風上側へ機体をわずかに傾けます。傾けないと、機首を戻した瞬間から横に流され始めるからです。
その結果、風上側の車輪が先に接地し、少し遅れて反対側が着きます。横風の日に、片方の車輪から着いたように見えるのはこのためです。左右同時でないのは、失敗ではありません。
機種ごとに限界が決められています
どんな風でも降りられるわけではありません。
機種ごとに、横風の限度が定められています。滑走路が雨で濡れているとき、雪が残っているときは、その値がさらに小さくなります。タイヤと路面の間で得られる力が弱くなるためです。
限度を超えそうな風であれば、別の滑走路を使う、風が落ち着くまで上空で待つ、目的地を変える、という判断になります。
風は一定ではありません。数値の上では限度の内側でも、変化が激しければ進入をやめて上昇し、やり直すこともあります。前に書いたゴーアラウンドの話です。
上空と地上で、風は違います
もうひとつ。降下しながら、風は刻々と変わります。
高いところと地面の近くでは、風の向きも強さも違うのが普通です。建物や地形の影響で、滑走路の手前だけ風が乱れることもあります。
ですから横風の着陸は、一度姿勢を決めて終わりではありません。接地の瞬間まで、変わり続ける風に合わせて修正を続けています。着陸が「毎回違う」といわれるのは、こういうところにも理由があります。
おわりに
風の強い日に飛行機が斜めを向いて見えるのは、横に流されないよう機首を風上に振り、進む方向を滑走路に合わせているからです。
接地の直前に機首を滑走路の向きへ戻し、風上側の車輪から先に接地します。機種ごとに横風の限度が定められていて、濡れた滑走路ではその値は小さくなります。




