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航空知識

上空でぐるぐる回って待つ「ホールディング」とは何か

おはようございます。

もうすぐ着くはずの時間なのに、窓の外に同じ景色が何度も出てくる。そんな経験をされた方がいるかもしれません。

今日は、上空で待つ「ホールディング」についてお話しします。

決められた形の上を、回り続けます

ホールディングは、その場を適当に旋回しているわけではありません。

あらかじめ形が決められています。ある地点を基準に、直線を飛んで、旋回して、また直線を飛んで、旋回して元の地点に戻る。上から見ると、陸上競技のトラックのような細長い輪になります。

一周の長さも決まっています。低い高度では直線部分をおよそ1分、高い高度ではもう少し長く飛びます。旋回の向きは右回りが基本です。

こう決めておくことで、管制官は「あの機体が次にどこにいるか」を正確に把握できます。同じ地点の上に、高度を変えて何機も重ねて待たせることもできます。下から順番に降ろしていく形です。

決められた輪の上を回りながら、高度を変えて重なって待つ 基準の地点 直線部分は約1分 上から見た形 3機目(いちばん上) 2機目 1機目(次に降りる) 下から順に着陸へ
形と一周の長さが決まっているため、管制官は各機の位置を把握できます。

待つ理由は、いくつかあります

待たされる理由で多いのは、着陸の順番が詰まっていることです。

同じ時間帯に到着が集中すれば、滑走路の処理が追いつきません。前に書いた後方乱気流の間隔もありますから、着陸は一定の間隔を空けてしか行えません。

天候も理由になります。空港の上に強い雨や雷雲がかかっていて、通り過ぎるのを待つ。風が急に変わって、使う滑走路を切り替える作業が終わるのを待つ。

滑走路が一時的に閉じることもあります。他機の点検、滑走路上の異物の確認、除雪の作業。どれも短時間ですが、その間は誰も降りられません。

いつまでも待てるわけではありません

ここが大事なところです。

以前、燃料の量をどう決めているかを書きました。目的地まで飛ぶ分に加えて、代替空港まで行く分と、上空で待つための分を積んでいます。

つまり、待てる時間は出発前から決まっています。無限ではありません。

私たちは待ちながら、残りの燃料と時計を見ています。「この時刻までに着陸の順番が来なければ、代替空港へ向かう」という線をあらかじめ決めておきます。管制からは、いつごろ進入できそうかという見込みの時刻が伝えられます。それと自分の限度を突き合わせます。

見込みが立たなければ、燃料に余裕を残したまま代替空港へ向かいます。ぎりぎりまで粘ってから決めるものではありません。余裕がなくなってから動くのでは遅いからです。

機内には、なるべくお伝えします

上空で回っているとき、客室には理由が見えません。窓の外は雲か、同じ景色です。

ですから、わかっている範囲でお伝えするようにしています。何が起きていて、あとどのくらいの見込みか。見込みが立たないときは「まだわかりません」ということ自体をお伝えします。

黙って回り続けるのがいちばん不安を大きくすると思っています。

おわりに

ホールディングは、決められた形の輪の上を回りながら着陸の順番を待つ方法です。混雑、天候、滑走路の一時閉鎖などが理由になります。

待てる時間は、出発前に積んだ燃料で決まっています。限度に達する前に代替空港へ向かう判断をするため、余裕を残したまま行き先を変えることがあります。