酸素マスクが落ちてくるのは、どんなときか

おはようございます。
離陸前の案内で、必ず酸素マスクの説明があります。聞き流している方も多いかもしれません。
今日は、あのマスクがどんなときに落ちてくるのかをお話しします。
客室の空気は、地上に近づけてあります
飛行機が飛んでいる高度1万メートル付近は、そのままでは人が呼吸できません。空気が薄すぎるからです。
そこで機内には、エンジンから取り出した空気を送り込み、客室の気圧を高めています。これを与圧といいます。実際の高度は1万メートルでも、客室の中は標高2000メートル前後の状態に保たれています。
山の上と同じくらい、と考えていただくとわかりやすいと思います。少し空気は薄いけれど、普通に過ごせる範囲です。
気圧が下がると、自動で落ちてきます
酸素マスクは、乗務員がボタンを押して落とすものではありません。客室の気圧が決められた値より下がると、自動的に天井の扉が開いて落ちてきます。
原因としては、与圧のための空気を送る装置の不具合や、機体の気密がどこかで保てなくなった場合が考えられます。いずれも非常にまれです。
引っ張らないと酸素が出ません
落ちてきたマスクは、ぶら下がっているだけでは酸素が出ません。手前に引っ張ることで、酸素を作る装置が働き始めます。
もうひとつ、覚えておいていただきたいことがあります。マスクについている袋は、ふくらまないことがあります。ふくらんでいなくても酸素は流れています。「袋がしぼんでいるから壊れている」と外してしまうのが、いちばん危険です。
まず自分から、という理由
案内では「同行者を助ける前に、まずご自分から」と説明されます。冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、理由があります。
高いところで空気が薄い状態になると、人がはっきりした判断を保てる時間はごく短くなります。高度によっては、1分もありません。しかも、意識が薄れていくときは自分では気づきにくいという性質があります。
先にお子さんにつけてあげようとしているうちに、自分の手が止まってしまう。これがいちばん避けたいことです。自分がつければ、そのあと落ち着いて何人でも手伝えます。
操縦室では、同時に高度を下げています
マスクが落ちた同じ瞬間、操縦室では降下を始めています。
私たちがめざすのは、マスクなしでも呼吸できる高度です。酸素が足りる高さまで下りてしまえば、状況は落ち着きます。
このとき機体は、普段よりはっきりと機首を下げ、速い降下をします。乗っている方には急に感じられると思いますが、早く下りることそのものが目的です。訓練で繰り返し練習している操作でもあります。
操縦室のマスクは、客室のものとは別に用意されています。片手で数秒でつけられる形になっていて、つけたまま無線で話せます。
おわりに
酸素マスクは、客室の気圧が一定より下がったときに自動で落ちてきます。引っ張ると酸素が流れ始め、袋はふくらまないことがあります。
上空では意識を保てる時間が短いため、まず自分がつけてから同行者を助けてください。操縦室では同じ時に、酸素が足りる高度まで降下を始めています。




