操縦席の気象レーダーは、何を見ているのか

おはようございます。
前に、飛行機が揺れる理由について書きました。今日はその続きとして、私たちが操縦席で何を見ながら揺れを避けているのかをお話しします。
機首の中にレーダーが入っています
旅客機の先端は、丸みを帯びた形をしています。あの中は空洞で、気象レーダーのアンテナが入っています。
電波を前方に出し、跳ね返ってきたものを受け取る。跳ね返りが強いほど、そこに何かが多くあるということになります。それを画面に色で表示しています。
映っているのは雲ではなく、雨や雪の粒です
ここが誤解されやすいところです。
気象レーダーは、雲そのものを映しているわけではありません。映っているのは、雨や雪、ひょうといった、ある程度の大きさを持った水の粒です。
電波は、小さすぎるものには跳ね返りません。雲を作っているごく細かい水の粒では、返ってくる電波が弱すぎて画面には出てきません。逆に、粒が大きく数が多いところほど、強く返ってきます。
つまり操縦席の画面は「雲の地図」ではなく、「雨の強さの地図」です。
赤い領域は、横に避けます
色が赤や、さらに強い表示になっている場所は、激しい雨が降っています。多くの場合、その正体は積乱雲です。
積乱雲の中には、強い上昇気流と下降気流があります。ひょうが降っていることもあります。近づいてよいものではありません。
私たちは、こうした領域を横に大きく避けます。上を越えようとはしません。積乱雲は上へ上へと伸びる性質があり、頂上付近にも強い流れがあるからです。回り道になっても、横に避けるのが基本です。
到着が少し遅れる。そういうとき、操縦席では画面の赤い塊を見ながら経路を選び直しています。
映らない揺れがあります
レーダーの限界も、正直にお伝えしておきます。
水分の粒がないところは、映りません。晴れた空の中で、空気の流れの境目で起きる揺れがあります。前に書いたジェット気流の縁などで起きるもので、目にも見えず、レーダーにも映りません。
こうした揺れには、他の手段で備えます。予報を確認し、先を飛んでいる機からの情報を管制経由で受け取り、揺れの報告があった高度を避ける。それでも、突然来ることがあります。
「揺れていないときもベルトをお締めください」という案内は、この事情によるものです。私自身、揺れていない時間帯でも、席にいるときはベルトを緩く締めています。
おわりに
機上の気象レーダーは、雲そのものではなく雨や雪の粒を映しています。緑、黄、赤という色の違いは、粒の多さの違いです。
赤い領域は積乱雲であることが多く、上を越えずに横へ大きく避けます。一方で、水分のない空気の揺れはレーダーには映りません。ベルトの案内が繰り返されるのは、そのためです。




