戦闘機の「スクランブル」、あの数分間に何が起きているのか
おはようございます。
ニュースで「航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)しました」という言葉を聞いたことがあると思います。今日は、このスクランブルで実際に何が起きているのかを、一般の方にも分かるようにお話しして行きます。
私は以前、航空自衛隊で戦闘機を操縦していました。エアラインの話が続いたので、今日は少しだけ、前の職場の話です。
スクランブルとは「空の呼び鈴対応」です
一言で言うと、スクランブルは「国籍不明の航空機が日本に近づいてきたとき、確認しに行くこと」です。
日本の周りの空にはレーダーの監視網があり、24時間365日、空を見張っています。そこに、事前の飛行計画がない航空機や、応答のない航空機が映ったとします。そのままにはできませんから、「どなたですか」と確認しに行く。これがスクランブルです。
家の呼び鈴が鳴ったら玄関に出て確認する。イメージとしてはあれに近いものです。ただし空の場合、相手は時速数百キロで動いています。
なぜ「数分で」飛び立てるのか
スクランブルの発令から離陸までは、わずか数分です。
これができるのは、基地では戦闘機とパイロットが常に「アラート待機」という状態で準備しているからです。機体は点検を終えて燃料も入った状態で待ち、パイロットは待機所で装具を身につけたまま過ごします。ベルが鳴った瞬間に走り出し、手順を最短で進めて離陸する。
この態勢を、日本のどこかで、何十年も途切れず続けています。お正月も、台風の日もです。
上がった後は何をするのか
離陸した戦闘機は、レーダーサイトの管制官の誘導で対象の航空機に向かいます。そして目視で確認します。国籍、機種、武装の有無。必要であれば、無線や機体の動きで意思を伝えます。
大切なのは、スクランブルの目的は「戦うこと」ではなく「確認し、見届けること」だという点です。ほとんどのケースは、確認と監視をして、相手が離れていくのを見届けて終わります。
どれくらいの頻度で起きているのか
防衛省の公表によると、スクランブルは年間数百回規模で実施されています。おおまかに言えば、平均して一日に一回以上、日本のどこかで誰かが緊急発進している計算になります。
ニュースになるのはごく一部ですが、この「日常の積み重ね」が空の警戒監視の実態です。
おわりに
エアラインの操縦席から見る空と、戦闘機から見る空。同じ空ですが、そこにある仕事はまったく違います。
ただ、共通していることがひとつあります。どちらの空にも「当たり前の毎日を守るために、見えないところで準備を続けている人たち」がいることです。
これからも民間・軍事を問わず、空の世界を分かりやすくお伝えして行きます。