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航空知識

「スコーク7700」とは何か。管制に緊急を伝える4桁の数字

おはようございます。

「〇〇便がスコーク7700を発信」。ニュースや、飛行機の位置が見られるアプリで、こうした言葉を見かけることがあります。地図の上で、その便だけが目立つ表示になっていることもあります。

7700とは何の数字なのか。なぜ「スコーク」と呼ぶのか。そして、その番号が出たとき、管制や飛行機の側では何が起きているのか。

今日は、飛行機と管制をつなぐ4桁の番号の話をします。

飛行機には、レーダーに答える装置が積まれています

管制官は、レーダーの画面で飛行機の位置を見ています。ただ、電波を当てて跳ね返りを見るだけのレーダーでは、点が映るだけで、それがどの便で、どの高さを飛んでいるかまでは分かりません。

そこで使われているのが、二次レーダーとトランスポンダの組み合わせです。

  • 地上の二次レーダーが、飛行機に向けて「応答せよ」という電波を送ります
  • 飛行機のトランスポンダ(自動応答装置)が、それを受けて、決められた番号などを電波で返します
  • 管制官の画面には、その番号に結びついた便名や高度が表示されます

アメリカの航空情報マニュアル(AIM:パイロット向けの公式の手引き)は、この返事は跳ね返りの電波よりずっと強く、目標をすばやく識別できることが利点だと説明しています(AIM 4-5-2)。

日本では、トランスポンダは法令上「航空交通管制用自動応答装置」と呼ばれます。国が指定する空域を飛ぶ航空機には、4,096以上の番号を持ち、モードAで識別の番号を、モードCで高度を答えられる装置を積むことが求められています(航空法施行規則第146条)。

4桁の番号は、0から7だけでできています

この返事に使う番号が、スクォークコードです。管制は「スコーク(squawk)」という言葉で、パイロットに番号の設定を指示します。たとえば「スコーク、2103」と言われたら、トランスポンダに2103を入れます。

番号は4桁で、各桁に使えるのは0から7までです。8と9は使いません。0から7の8通りが4桁並ぶので、8×8×8×8で4,096通りになります。AIMも、4,096の番号を4桁で表すと説明しています(AIM 4-1-20)。

普段の番号は、出発前や管制の空域に入るときに管制から割り当てられます。同じ時間に同じ空域を飛ぶ便が同じ番号にならないよう、管制側で割り振っています。

番号はどう届くのか 7 7 0 0 トランスポンダの番号 二次レーダー ①「応答せよ」 ②番号と高度を返す 便名 FL350 7700 ③管制官の画面 地上の受信機 管制・位置表示サービス ADS-B:機体が自分の位置を発信
模式図です。実際のレーダーや受信機の配置、画面の表示は国や施設によって異なります。

モードA、モードC、モードS

トランスポンダの返事には、いくつかの種類(モード)があります。

  • モードA:4桁の番号を返します。どの飛行機かを見分けるための番号です
  • モードC:高度を返します。AIMによると、高度は100フィート(約30メートル)刻みの数値に変換して送られます(AIM 4-1-20)
  • モードS:より新しい方式です。番号と高度に加えて、ほかのデータもやりとりできます

モードCの高度は、標準の気圧を基準にした値として送られ、地上の側でその土地の気圧に合わせて補正して表示されます(AIM 4-1-20)。高度計の基準の話は、高度計の記事で書きました。

最近は、ADS-B(放送型自動従属監視)という仕組みも広く使われています。機体が衛星測位で自分の位置を求め、それを高度などと一緒に発信するものです(AIM 4-5-7)。AIMによると、アメリカでは1090MHzという周波数をトランスポンダと共用していて、機体ごとに**24ビットの固有の番号(ICAOアドレス)**が割り当てられています。

7700、7600、7500:特別な意味を持つ3つの番号

4,096通りの中に、世界共通で特別な意味を持つ番号が3つあります。

  • 7700:緊急事態
  • 7600:無線の故障(管制と通信ができない)
  • 7500:不法な妨害(ハイジャックなど)

アメリカのAIMにも(AIM 6-2-2、6-4-1、6-3)、ヨーロッパの航空規則(SERA.13005)にも、同じ番号がこの意味で定められています。

7700は、遭難(重大で差し迫った危険があり、すぐに助けが必要な状態)や、緊急(安全に関わる問題があり、すぐではないが早めの助けが必要な状態)のときに使います(AIM 6-2-2)。用語の定義は、AIMの用語集にあります。

ここで大事なのは、7700は「墜落しそう」という意味ではないということです。機体の不具合や機内での急病人など、早く降りる必要がある状況で幅広く使われます。AIMは、位置や燃料、天候などに不安を感じた時点で、少なくとも「緊急」の状態にあると考え、ためらわずに助けを求めるよう勧めています(AIM 6-1-2)。

7600は、無線が使えなくなったときの番号です。声で伝えられなくても、番号を変えることで「通信ができない」ことを管制に知らせられます。その後の飛び方には、あらかじめ決められた手順があります(AIM 6-4-1)。

7500は、ハイジャックなど不法な妨害を受けているときの番号です。AIMには、管制から7500を割り当てることは、パイロットからの通報がない限りないと書かれています(AIM 6-3)。7500を受けた管制官は、パイロットにその番号で間違いないかを確かめます。

7700に切り替えると、何が起きるのか

では、7700に切り替えたとき、管制の側では何が起きるのでしょうか。

AIMによると、レーダーの施設は、7700を受けると通常、すべての管制席で警報や特別な表示が出るようになっています(AIM 6-2-2)。その空域を担当する管制官だけでなく、ほかの席の管制官にも、緊急の機体がいることが伝わります。

ただし、番号を変えただけで終わりではありません。AIMは、7700に設定したらすぐに管制と通信を確立するよう求めています。レーダーの届かない場所にいる可能性もあるので、7700を出したまま、できるだけ早く無線で連絡をとります。

無線で緊急を伝えるときは、決まった言葉を使います(AIM 6-3-1)。

  • MAYDAY(メーデー):遭難。3回繰り返すのが望ましいとされます。ほかのすべての通信より優先され、その周波数では他の機が通信を控えます
  • PAN-PAN(パンパン):緊急。遭難の次に優先されます

通信では、何が起きているか、これからどうしたいか、どんな助けが欲しいかを伝えます(AIM 6-3-1)。管制はそれを受けて、高度や経路、着陸する空港の調整を手伝います。機長には、緊急で直ちに対処が必要なときは、その対処に必要な範囲で規則から外れて行動する権限があります(米国連邦航空規則14 CFR 91.3(b)、AIM 6-1-1)。その場合も、できるだけ早く管制に知らせることが求められています。

一方、すでに管制と話していて番号を割り当てられている場合は、番号はそのままで、無線で緊急を伝えることもあります。ヨーロッパの規則は、管制から特定の番号を指示されている場合を除いて7700を選ぶ、という書き方をしています(SERA.13005)。

緊急着陸の判断や代替空港については、燃料計画の記事やゴーアラウンドの記事でも触れています。

番号を変えるときにも、決まりがあります

特別な番号は、うっかり出してしまうと誤報になります。そのためAIMは、普段の番号を変えるときに7500、7600、7700を途中で通らないよう注意を促しています(AIM 4-1-20)。

たとえば2700から7200に変えるとき、1桁目を先に7にすると、一瞬だけ7700になってしまいます。そこで、2700→2200→7200の順に変えるよう例示されています。

また、アメリカでは7777は軍の迎撃機の運用のための番号とされ、民間機は使わないことになっています(AIM 4-1-20)。

1200、2000、7000:普段の番号

特別な番号以外にも、よく知られた番号があります。

  • 1200:アメリカで、管制から番号を指示されていない有視界飛行方式(目で見て飛ぶ方式)の機体が使う番号(AIM 4-1-20)
  • 2000:ヨーロッパの規則で、管制から番号の指示がないときに使う番号(SERA.13005)
  • 7000:ヨーロッパの規則で、管制のサービスを受けていない機体が、見つけてもらいやすくするために使う番号(SERA.13005)

普段使う番号は国や地域で違います。ここではアメリカとヨーロッパの例を挙げました。

Flightradar24で7700が見える理由

最後に、なぜ一般の人のスマートフォンでも7700が分かるのかです。

Flightradar24やFlightAwareのような位置表示のサービスは、飛行機が発信しているADS-Bなどの電波を、地上に置いた受信機で受け取って表示しています。ADS-Bは名前のとおり「放送型」で、受信機があれば受け取れます。そこに番号や緊急の状態も含まれます。AIMによると、トランスポンダと一体になったADS-Bは、7500、7600、7700が入力されると、自動的に緊急の状態を発信します(AIM 4-5-7)。

ただし、こうしたサービスの表示は管制の画面と同じではありません。FlightAwareは自社の解説で、一般向けの受信機では番号の読み取りが不安定になることがあり、一時的に誤った番号が表示される場合があると説明しています。また、緊急の場面でも必ず7700が使われるとは限らない、とも書いています。

地図の上で7700の便を見ても、それだけで状況は分かりません。乗員が管制に緊急を伝え、支援を受けている状態だと考えるのが正確です。

おわりに

スコーク7700は、トランスポンダに入れる4桁の番号で、緊急事態を意味します。番号は0から7の数字だけでできていて、全部で4,096通り。その中で7700は緊急、7600は無線の故障、7500は不法な妨害と、世界共通で決められています。

7700に切り替えると、レーダーを見ている管制官に警報や特別な表示が出ます。パイロットはすぐに無線で状況を伝え、管制は高度や経路、着陸する空港の調整を手伝います。

ニュースやアプリで7700の便を見かけたら、それは「乗員が管制に緊急を伝え、支援を受けている」という合図です。状況の詳細は、航空会社や運輸当局の発表を待つのが確実です。管制とのやりとりの基本は、管制無線の記事で書きました。