管制官とパイロットは、無線で何を話しているのか

おはようございます。
管制官とパイロットの無線を聞いたことはありますか。早口の英語が飛び交っていて、何を言っているのか分からない、という方が多いと思います。
実際に話している中身は、意外と単純です。今日はその中身をお話しします。
話しているのは、主に4つのこと
無線で伝えられるのは、ほとんどが次のどれかです。
- 高度:どの高さまで上がるか、下がるか
- 進路:どちらへ向かうか
- 速度:どれくらいの速さで飛ぶか
- 許可:離陸してよいか、着陸してよいか、滑走路に入ってよいか
雑談はありません。必要なことだけを、短い言葉で伝え合います。
決まった言い方しか使わない
普通の英会話とは違い、管制無線では使う言葉があらかじめ決められています。
同じ内容でも人によって言い方が違うと、聞き間違いが起きます。だから「この場面ではこう言う」という型を世界共通で決めてあります。早口に聞こえるのは、型が決まっていて、無駄がないからです。
数字の読み方にも決まりがあります。聞き間違えやすい数字は、独特の読み方をします。アルファベットも「A=アルファ、B=ブラボー」のように、決まった言葉に置き換えて伝えます。
必ず復唱する
管制官から指示を受けたら、パイロットは必ず内容を復唱します。
「高度3000メートルへ降下してください」と言われたら、「高度3000メートルへ降下します」と返します。これで、管制官は「正しく伝わった」と確認できますし、もし聞き間違えていれば、その場で訂正されます。
聞こえたつもりで動かない。声に出して確かめる。これは操縦席の中で二人が確認し合うのと、同じ考え方です。
なぜ英語なのか
日本国内の飛行でも、多くの場面で英語が使われます。理由は、世界中どこでも同じやり方で通じるようにするためです。
空には、さまざまな国の飛行機が飛んでいます。同じ周波数を聞いている他の機体が、何が起きているかを理解できることも大切です。共通の言葉を使うことは、安全のための仕組みでもあります。
実は、日本語も使えます
あまり知られていませんが、管制通信は必ず英語でなければならない、というわけではありません。国際的な取り決めでは、英語に加えて、その国の言語(母国語)を使うことも認められています。
日本国内でも、日本語でやりとりされる場面はあります。特に緊急時など、正確さと速さが求められる状況では、日本語のほうが誤解なく伝わることがあります。
ふだん英語が使われているのは、決まりだからというより、そのほうが多くの機体にとって都合がよいからです。国内線どうしでも、周りには外国の機体がいます。全員が同じ内容を聞き取れる状態を保つことに、意味があります。
実際に聞いてみることもできます
管制無線は、専用の受信機がなくても聞けます。LiveATC.net というサイトでは、世界中の空港の管制通信が配信されていて、日本の羽田や成田などの周波数も公開されています。
パソコンやスマートフォンから無料で聞けるので、興味のある方は一度試してみてください。最初はまったく聞き取れないと思います。ただ、この記事に書いた「高度・進路・速度・許可」と「復唱」を意識して聞くと、同じ形の言葉が繰り返されていることに気づくはずです。
おわりに
管制無線で話しているのは、高度・進路・速度・許可といった、ごく限られた内容です。決まった言い方で短く伝え、必ず復唱して確かめる。
早口で難しそうに聞こえますが、中身は「間違いを起こさないための、そっけないやりとり」です。あの短い言葉の積み重ねが、混み合った空を整理しています。




