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航空知識

飛行機は何年くらい使うのか。機体の寿命と整備の話

おはようございます。

「この飛行機、何年くらい使っているのですか」

搭乗の際に聞かれることがあります。今日は、飛行機の寿命と、それを支える整備についてお話しします。

年数より、「何回飛んだか」で考える

飛行機の寿命は、年数だけでは決まりません。同じくらい重要なのが、離着陸を何回繰り返したかです。

飛行機は、飛ぶたびに機内の気圧を上げ下げしています。上昇すれば機体はわずかにふくらみ、降下すれば戻ります。この繰り返しが、金属に少しずつ負担をかけます。

だから、長距離を少ない回数飛ぶ機体と、短距離を1日に何度も往復する機体では、同じ年数でも状態が変わります。設計の段階から、「何回の飛行に耐えるか」が決められています。

整備は、段階に分かれている

飛行機の整備は、毎回同じ内容ではありません。規模の違う点検を、決められた間隔で組み合わせています。

  • 毎回の点検:出発前の外回りの確認など、日常的なもの
  • 短い間隔の点検:数日から数週間ごとに行う点検
  • 大きな点検:数年に一度、機体を分解に近い状態まで開けて調べるもの

いちばん大きな点検では、内装や座席を外し、構造や配線まで確認します。数週間かけて行われ、終わるころには新品に近い状態に戻ります。

整備は段階に分かれている 毎回の点検 出発前の確認 外回りの目視など 短い間隔の点検 数日〜数週間ごと 大きな点検 数年に一度 内装を外し構造まで 頻度が高いほど簡易に、間隔が長いほど徹底的に調べる
整備は規模の違う点検を組み合わせています。頻繁なものほど簡易に、間隔の長いものほど徹底的に調べます。

古い機体が危ない、とは限らない

「古い飛行機は不安」と感じる方がいます。ただ、実際は年式そのものより、整備がきちんと行われているかが重要です。

決められた点検を、決められた時期に、記録を残して行う。この積み重ねがある限り、年数が経った機体でも安全に飛べます。逆に言えば、整備の記録は飛行機にとって欠かせないものです。

日本の航空会社は、意外と短い

では実際、日本の会社はどれくらいの期間、機体を使っているのでしょうか。

機体の年齢を集計しているサイトの数字では、ANAの平均機齢がおよそ11〜12年、JALがおよそ12〜13年とされています。設計上はもっと長く飛べることを考えると、意外に短いと感じられるのではないでしょうか。

これは「そこで寿命が尽きるから」ではありません。整備にかかる費用まで含めて考えた結果の期間です。機体は古くなるほど、大きな点検の内容が増え、部品の交換もかさみます。一方で、新しい機種は燃費がよく、燃料費を抑えられます。

修理と燃料に払い続けるお金と、新しい機体に入れ替える費用。この二つを比べて、入れ替えたほうが得だと判断される時期がきます。日本の会社の平均機齢が比較的短いのは、この計算をこまめに行っている結果でもあります。

引退の理由は、安全だけではない

つまり、機体が引退するのは、飛べなくなったからとは限りません。

燃費のよい新しい機種に入れ替える、路線の需要が変わる、といった経営上の理由も大きな要素です。まだ飛べる機体が、別の会社に引き取られて、そこで長く使われることもあります。

おわりに

飛行機の寿命は、年数と飛行回数の両方で考えます。そして、それを支えているのは、段階的に組まれた整備の仕組みです。

搭乗した機体が新しいか古いかは、外から見ても分かりにくいものです。ただ、そこには必ず点検の記録があり、それが確認されたうえで飛んでいます。