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航空知識

飛行機の整備は、いつ、どこまでやっているのか

おはようございます。

飛行機は毎日飛んでいます。「あれはいつ整備しているのか」と聞かれることがあります。

今日は、整備の段階についてお話しします。

飛ぶたびに点検しています

まず、便ごとの点検があります。

到着した機体を整備士が外から一周し、タイヤ、ブレーキ、エンジンの吸気口、機体表面などを確認します。オイルや作動油の量も見ます。この点検は、次の便が出発する前に毎回行われます。短い折り返しの便でも省略はしません。

パイロットも、乗り込む前に機体の外を歩いて確認します。整備士の点検とは別に、飛ばす立場として自分の目でも見ておきます。

さらに、その日の運航を終えた機体には、より広い範囲の点検が行われます。

飛行時間で区切った整備があります

日々の点検とは別に、一定の飛行時間や回数ごとに行う整備があります。

A整備と呼ばれる段階では、機体を格納庫に入れ、一晩から数日かけて点検します。各部の作動確認、油脂の補給、消耗品の交換などを行います。数百飛行時間ごとが目安です。

C整備はさらに大がかりです。おおむね1年から2年ごとに、数日から数週間かけて行われます。客席や内装を外し、構造を直接確認します。塗装のやり直しがこの機会に行われることもあります。

もっと大がかりな整備では、機体をかなりの範囲まで分解して点検します。数年に一度、1か月前後の期間をかけて行われることが多く、塗装をはがして構造の表面を直接見ることもあります。この間、その機体は運航から外れます。

航空会社は、この長い整備の時期を見越して機材の数を組んでいます。1機が格納庫に入っている間も、ほかの機体でダイヤを回せるようにしておく必要があるからです。

便ごとの点検 毎回・数十分 飛ぶたび A整備 一晩〜数日 数百飛行時間ごと C整備 数日〜数週間 内装を外して点検 1〜2年ごと 大がかりな整備 広い範囲を分解 構造を直接確認 数年ごと
段階ごとに、見る範囲と時間が変わります。

整備の間隔は、誰が決めているのか

どの点検を、どのくらいの間隔で行うか。これは航空会社が思いつきで決めているわけではありません。

もとになるのは、機体メーカーが作る整備の基準です。航空会社はそれをもとに自社の整備計画を作り、国の認可を受けます。運用を始めてからは、実際に見つかった不具合のデータを集め、間隔を短くしたり、点検の項目を足したりして見直していきます。

エンジンは、翼から外して専用の工場で整備することもあります。取り外したエンジンの代わりに予備のエンジンを付ければ、機体はそのまま運航に戻れます。

目に見えない傷は、道具で探します

整備士の目で見て分かる傷ばかりではありません。金属の内部にできた小さな亀裂は、表面からは見えないことがあります。

そこで、部品を壊さずに内部を調べる検査を使います。音波を当てて跳ね返りを見る方法、電流の流れ方の変化で表面近くの亀裂を探す方法、X線で透かして見る方法などです。どこをどの方法で、どのくらいの間隔で調べるかは、機体ごとの整備計画で決められています。

エンジンの内部は、細いカメラを差し込んで羽根の状態を確認します。エンジンを分解しなくても、傷や欠けを見つけられます。

部品には寿命が決められています

整備の考え方には、壊れてから直すのではなく、壊れる前に交換するという部分があります。

多くの部品に、使用時間や回数の上限が決められています。上限に達したら、まだ使えるように見えても交換します。タイヤやブレーキのように、摩耗の状態で判断するものもあります。

以前、機体の寿命について書いたときに触れましたが、日本の航空会社が機体を20年ほどで入れ替えるのは、整備にかかる費用と燃費を含めた経済判断です。整備を続ければ飛ばせる状態は保てますが、そのぶん費用がかかります。

不具合があっても出発できる場合があります

出発前の点検で、小さな不具合が見つかることがあります。そのたびに必ず出発をやめるわけではありません。

機体ごとに、「この装備が一時的に使えなくても、決められた条件を守れば出発してよい」という一覧が定められています。たとえば、同じ役割の装置が2つあり、そのうち1つが使えない場合などです。一覧に載っていないもの、条件を満たせないものは、直るまで出発できません。

一覧にもとづいて出発する場合も、修理までの期限が決められています。期限内に直すことが前提です。パイロットは出発前に、どの装備が使えない状態なのか、そのときに守る条件は何かを確認します。

整備士は、国家資格です

機体の整備を確認して「飛んでよい」と証明するには、国の資格が必要です。さらに、機種ごとの資格も求められます。同じ整備士でも、資格を持っていない機種の確認はできません。

作業をした人と、それを確認する人を分けることも基本です。1人の思い込みで見落とさないよう、ここでも2人の目を使います。

記録が残ります

整備の内容は、すべて記録されます。いつ、誰が、どの部品に、何をしたか。この記録は機体とともに保管されます。

中古で機体が売買されるときも、この記録が引き継がれます。機体の価値は、記録の内容によって変わります。記録が欠けていると、その部品がいつ何をされたか確かめられず、交換が必要になることもあります。

おわりに

飛行機の整備は、便ごとの点検から数週間かかる大がかりなものまで、段階が分かれています。部品には寿命が決められていて、壊れる前に交換します。

出発前に整備士が機体の周りを歩いているのを見かけたら、その日の点検が行われているところです。