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航空知識

飛行機に雷が落ちたらどうなるのか。実は毎年どこかで起きています

おはようございます。

「飛行機に雷が落ちることはあるんですか」というご質問をよくいただきます。

あります。しかも、めったにない出来事ではありません。今日は、そのときに何が起きているのかをお話しします。

1機あたり、年に1回程度は起きています

旅客機への落雷は、業界では1機あたり年に1回程度の頻度で起きるといわれています。世界中を飛んでいる機体の数を考えれば、いまこの瞬間もどこかで起きている計算になります。

私自身も何度か経験しています。操縦席が一瞬、白く光ります。同時に「バン」という破裂音がします。驚かないと言えば嘘になりますが、そのあと計器を見て、エンジンの状態を確認して、何も変わっていなければそのまま飛び続けます。

客室からは、窓の外が光ったように見えて、音が聞こえた、という感じ方になると思います。

電気は機体の表面を通り抜けていきます

なぜ大丈夫なのか。理由は、機体が金属でできた筒だからです。

電気には、導体の表面を流れる性質があります。金属で囲まれた空間の中には、外側から来た電気が入り込みません。飛行機の胴体は、この「金属で囲まれた空間」そのものです。

落雷のとき、電流は機首や翼の先など尖った場所から入り、反対側の端から抜けていきます。通り道は、あくまで機体の外側の表面です。中にいる人や、座席や、機内の空気には流れません。

落雷 入口 出口 客室には流れません 電流は機体の外側の表面だけを通り、反対側の端から抜けていきます
尖った場所から入り、尖った場所から出ます。中は通りません。

炭素繊維を多く使った新しい機体では、素材そのものが金属ほど電気を通しません。そのため、表面に金属の細かい網を埋め込んで、電流の通り道をあらかじめ作ってあります。設計の段階から、落雷は「起きるもの」として織り込まれています。

着陸したら、必ず点検します

そのまま飛べるとはいえ、何もなかったことにはしません。

落雷を受けた便は、到着後に整備の点検を受けます。探すのは、電流が出入りした跡です。小さな焦げや、直径数ミリの穴が見つかることがあります。多いのは機首、翼の先、尾部の先端です。

私たちは、光った瞬間の状況をできるだけ細かく記録して引き継ぎます。どのあたりを飛んでいたか、どちら側が光ったか。点検する側にとって、その情報が探す手がかりになります。

跡が見つかれば修理をしますし、影響がなければそのまま次の便に出ます。

そもそも、近づかないようにしています

もっとも、いちばんの対策は落雷を受けないことです。

雷を伴う雲は、気象レーダーに映ります。私たちはその映像を見ながら、距離を取って迂回します。真っ直ぐ飛べば近道でも、雲を避けて回り道をすることがあるのはこのためです。

ただ、雷は必ずしも雷雲の中だけで起きるわけではありません。上昇中や降下中、雲を抜ける途中に、機体自身が帯びた電気がきっかけとなって発生することもあります。避けきれない場合がある、というのが正直なところです。

おわりに

飛行機への落雷は、珍しい出来事ではありません。機体は金属の筒として電気を表面で受け流すように作られていて、中にいる人に伝わることはありません。

もし窓の外が光って大きな音がしても、操縦席では計器を確認して、問題がなければそのまま飛び続けています。そういうものだと思っていただけたらと思います。