雪の日、飛行機に液体をかけているのは何か。除氷と防氷の話

おはようございます。
冬の空港で、出発前の機体に色のついた液体をかけている場面を見たことがあるかもしれません。あれは何をしているのか、というご質問をいただきます。
今日は、その作業についてお話しします。
翼に雪や氷が残ってはいけません
飛行機は、翼の上を流れる空気が下面より速くなり、上面の圧力が下がることで持ち上げられています。この圧力差が揚力です。
翼の表面に雪や氷が付くと、この流れが乱れます。表面が少しざらつくだけでも、翼が本来の性能を出せなくなります。わずかな付着でも影響が出るため、離陸前に取り除く必要があります。
見た目には薄く積もっているだけに見えても、飛べる状態ではありません。
2種類の液体を使い分けます
かけているのは、大きく分けて2種類です。
**除氷液(タイプI)**は、いま付いている雪や氷を取り除くためのものです。加熱して高い圧力で吹きつけ、洗い流します。さらさらした液体で、オレンジ色に着色されていることが多いです。
**防氷液(タイプIV)**は、これから付くのを防ぐためのものです。とろみのある液体で、機体の表面に留まって膜を作ります。緑色に着色されているものをよく見かけます。
雪が降り続いている日は、除氷したあとに防氷を重ねます。まず落とし、次に付かないようにする、という順番です。
効果が続く時間には限りがあります
防氷液の効果は、いつまでも続くわけではありません。雪の降り方、気温、風によって、効いている時間が変わります。
この「効果が続く見込みの時間」は表になっていて、その日の条件から読み取ります。時間内に離陸できなかった場合は、もう一度やり直しになります。
雪の日に順番待ちが長くなるのは、この作業に時間がかかることと、待っている間に効果が切れてやり直しになることが理由です。
出発が遅くなる理由でもあります
除氷の設備には限りがあります。雪の日は多くの便が同じ作業を必要とするため、順番待ちが発生します。
私たちも、待ち時間の見通しを確認しながら手順を進めます。効果が切れる前に離陸できる見込みが立たなければ、いったん待つ判断をすることもあります。
雪の日の遅れは、こうした事情によるものです。
おわりに
雪の日にかけている液体は、いま付いている雪を落とす除氷液と、これから付くのを防ぐ防氷液です。翼にわずかでも雪や氷が残っていると、本来の揚力が得られません。
出発が遅くなることもありますが、飛べる状態にするために必要な作業です。窓から見えたときは、そういう作業だと思っていただけたらと思います。




