※ 本サイトはアフィリエイト広告およびGoogle AdSenseによる広告を含みます

航空知識

夜の飛行では、何を見て飛んでいるのか

おはようございます。

夜の便に乗ると、窓の外は真っ暗です。「あの状態で、どうやって飛んでいるのか」と聞かれることがあります。

今日は、夜間の飛行についてお話しします。

見ているのは、ほとんど計器です

まず前提として、昼間でも巡航中は外の景色で操縦しているわけではありません。姿勢、高度、速度、進路。これらはすべて計器で確認します。

夜になると、外の情報がさらに減ります。そのぶん計器への依存が高まりますが、やっていること自体は昼と大きく変わりません。

雲の位置は気象レーダーで確認します。周囲の交通は、管制からの情報と、機体どうしが位置を知らせ合う装置で把握します。目で探すのではなく、装置で知る。これは昼夜を問わず同じです。

空港は、灯火で形が分かります

着陸が近づくと、地上の灯火が見えてきます。夜の空港は、灯火の配置で滑走路の形と位置が分かるようになっています。

  • 進入灯:滑走路の手前に伸びる列。どこに向かって降りればよいかを示します
  • 滑走路末端灯:滑走路の始まりを示す緑の灯り
  • 滑走路灯:両側に並ぶ白い灯り。幅と長さが分かります
  • PAPI:降下の角度が正しいかを色で教える灯火

着陸したあとも灯火を頼りに進みます。誘導路の縁は青い灯り、中心線は緑の灯りで示されていて、駐機場までの道筋が夜でも分かるようになっています。

進入灯 末端灯 滑走路灯 PAPI(降下角を示す) 灯火の並び方で、滑走路の位置と正しい降下の道すじが分かる
夜の空港は、灯火の配置そのものが情報になっています。

PAPIは、正しい角度で降りていれば白と赤が半分ずつ見えます。高すぎれば白が増え、低すぎれば赤が増えます。色を見るだけで、自分の高さが合っているかが分かります。

飛行機にも、決まった灯火があります

地上から夜空を見上げると、飛行機の灯りが点滅しているのが見えます。あの灯りにも、決まった意味があります。

  • 航行灯:左の翼端が赤、右の翼端が緑、尾部が白。灯りの色の組み合わせで、相手の機体がどちらを向いて飛んでいるかが分かります
  • 衝突防止灯:胴体の上下にある赤い点滅灯。エンジンを始動する前から点け、周りに「この機体は動きます」と知らせます
  • ストロボライト:翼端などにある白い強い点滅灯。滑走路に入るときから点けて、遠くからでも見えるようにします
  • 着陸灯:前方を照らす強い灯り。離着陸のときに使い、高度が上がると消します

たとえば、前方に赤い灯りが右、緑の灯りが左に見えれば、その機体はこちらに向かってきています。夜は機体の形が見えないので、灯りの並びで向きを判断します。

夜のほうが有利な面もあります

夜は不利なことばかりではありません。

灯火は、昼間の景色より見つけやすいことがあります。遠くからでも空港の位置が分かり、他機の位置も灯火で把握しやすくなります。日中に比べて空気が安定し、揺れが少ない時間帯もあります。

一方で気をつけることもあります。周りに何もない海上や山間部の空港では、灯火が少ないため距離や高さの感覚が狂いやすくなります。こうした場所ほど、感覚ではなく計器で確認することが大切になります。

夜は、目が錯覚を起こしやすくなります

夜の着陸で気をつけることのひとつが、目の錯覚です。

たとえば、海や暗い土地の向こうに、滑走路の灯りだけが見えている場面です。周りに比べるものがないため、実際より高く飛んでいるように感じ、必要以上に降下してしまうことがあります。灯りの少ない空港への夜の進入で、昔から注意されてきた錯覚です。

滑走路が上り坂や下り坂になっている空港、幅が普段と違う滑走路でも、高さの感じ方がずれます。幅の広い滑走路は低く見え、狭い滑走路は高く見えます。

こうした錯覚は、分かっていても目では防げません。だからこそ、PAPIの色、計器の高度と降下率、自動で読み上げられる高度の数字を合わせて確認します。見え方ではなく、数字で降りるということです。

夜は、雷雲を見つけやすいこともあります

夜は雲そのものは見えにくくなりますが、雷は遠くからでもよく見えます。進路の先で雲の中が光っていれば、そこに発達した雲があると分かります。

もちろん、雷が見えないから安全というわけではありません。雲の位置は気象レーダーで確かめ、雷の光は判断を補う情報として使います。

離着陸の経験は、定期的に求められます

夜に限らず、パイロットは離着陸の経験を定期的に積んでいなければなりません。航空法では、一定の期間内に一定の回数以上の離陸と着陸を行っていることが求められています。長く飛んでいない期間があれば、シミュレーターなどで経験を満たしてから乗務に戻ります。

操縦席は暗くしています

夜間、操縦席の照明は落としています。明るいままだと目が暗さに慣れず、外が見えにくくなるためです。

計器のバックライトも、必要な明るさまで下げます。窓に映り込む光をできるだけ減らすためでもあります。

目が暗さに慣れるには時間がかかります。一方で、強い光を一瞬見ただけで、慣れた状態は崩れてしまいます。着陸前にまぶしい光を見ないようにするのも、このためです。機内の照明を暗くする理由と同じ考え方で、別の記事で書きました。

おわりに

夜の飛行で見ているのは、主に計器です。空港が近づけば、灯火の配置で滑走路の位置と降下の角度が分かります。

窓の外が真っ暗でも、必要な情報は手元にそろっています。夜の便で着陸前に窓の外を見ると、滑走路の灯りが近づいてくるのが見えるはずです。