パイロットはどうやって時差ボケと戦っているのか

おはようございます。
「世界中を飛んでいて、時差ボケは大丈夫なんですか?」これもよく聞かれる質問です。今日は少し肩の力を抜いて、パイロットと時差ボケの付き合い方についてお話しして行きます。
先に正直に言うと、**パイロットも時差ボケにはなります。**特別な体質になるわけではありません。ただ、長く付き合ってきたぶん、「うまくやり過ごすコツ」は身についています。
時差ボケの正体は「体内時計のズレ」
私たちの体には、およそ24時間のリズムを刻む体内時計があります。朝に目が覚めて、夜に眠くなる。あのリズムです。
飛行機で一気に地球の裏側まで移動すると、外の時間は一瞬で変わるのに、体内時計はゆっくりとしか変わってくれません。この「体と現地時間のズレ」が、時差ボケの正体です。眠れない、日中に眠い、食欲が乱れる。あの不調はここから来ています。
私が実践している3つのこと
長距離を飛ぶとき、私が気をつけていることをお話しします。特別なことはありません。
1. 光を味方にする
体内時計を一番強くリセットするのは、実は「光」です。現地の朝にしっかり日光を浴びると、体が「今が朝だ」と理解して、時計が現地時間に近づいていきます。逆に、夜に強い光を浴びないようにするのも大切です。
2. 食事の時間を現地に合わせる
到着したら、なるべく早く現地の食事時間に体を合わせます。お腹が空いていなくても、現地が朝食の時間なら軽く食べる。この積み重ねで、体が少しずつ現地のリズムに馴染んでいきます。
3. 無理に眠ろうとしない
これが意外と大事です。眠れないときに「早く寝なければ」と焦ると、かえって目が冴えてしまいます。眠れないなら、暗くして静かに横になっているだけでも体は休まります。「眠れなくてもいい」と思うくらいが、ちょうどいいのです。
乗務前の睡眠は「仕事の一部」
これは趣味の話ではなく、安全に関わる大切な話です。
パイロットにとって、乗務前にしっかり休むことは、操縦技術と同じくらい重要な「仕事」です。疲れたまま操縦席に座ることは許されません。だからこそ、私たちには乗務と乗務の間に十分な休養を取ることがルールとして定められています。
華やかに見えるかもしれませんが、その裏では「いかにコンディションを整えるか」という、地味で真剣な自己管理が続いているのです。
おわりに
海外旅行で時差ボケに悩んだことがある方も多いと思います。そんなときは、今日お話しした「光・食事・焦らない」の3つを思い出してみてください。少しは楽になるはずです。
体と相談しながら、世界のどこへ行っても自分のコンディションを保つ。これも、空で働く者が長年かけて身につけてきた、ささやかな技術のひとつです。
