機長と副操縦士は、違う機内食を食べています

おはようございます。
「パイロットは機内で何を食べているのですか」というご質問をいただきます。
食べています。ただ、乗客の皆さまの食事とは少し事情が違います。今日は、操縦席の食事の話をします。
2人は、別のものを食べます
機長と副操縦士は、原則として違う内容の食事をとります。
理由はひとつです。同じものを食べて、2人が同時に体調を崩す事態を避けるためです。
食事が原因の体調不良は、症状が出るまでに時間差があります。食べた直後は何ともなくても、しばらくしてから来ます。もし2人が同じものを食べていて、同じ時間に同じ症状が出たら、飛行機を操縦できる人がいなくなります。
過去には、機内で提供された食事が原因で多数の方が体調を崩した事例が実際に起きています。起こり得ることとして、対策が組まれています。
時間もずらします
内容を分けるだけでは足りません。食べる時間もずらします。
機長が食べているあいだ、副操縦士は食べません。飛行機の状態を見て、無線を聞いて、進路を確認しています。機長が食べ終わってから、交代します。
つまり操縦席では、どちらか一方が必ず飛行を見ている状態が保たれます。2人そろって食事に手をつけることはありません。
席を立たずに、膝の上でいただきます
食べる場所は、座ったままの操縦席です。
トレイを膝の上に置いて、片手で食べます。目の前は計器ですから、こぼすわけにいきません。汁気の多いものは慎重になります。
そして、いつでも中断できる態勢でいます。管制から呼ばれれば、その場でフォークを置いて応答します。揺れそうなときは、そもそも手をつけません。落ち着いて食べられる時間帯を選びます。
長距離の便では、雲の少ない安定した巡航に入ってから、順番に済ませます。短い便では、食べる時間そのものがないこともあります。
味の感じ方も、地上とは違います
上空は気圧が低く、空気が乾いています。この環境では、味やにおいの感じ方が地上より鈍くなります。特に甘みと塩味が分かりにくくなるといわれます。
機内食が濃いめの味つけになっているのは、この条件を見込んでのことです。地上で同じものを食べると、少し塩気が強く感じられるかもしれません。
私は長年食べていますから、もう慣れました。おいしくいただいています。
おわりに
操縦席の2人が別々のものを食べているのは、同時に体調を崩す事態を避けるためです。時間もずらして、必ずどちらかが飛行を見ている状態にしています。
食事といっても、席を立って休むわけではありません。膝の上で、いつでも中断できる態勢のまま済ませます。窓の外を眺めながらゆっくり、というわけにはいかないのが正直なところです。




