行きと帰りで飛行時間が違うのはなぜか。ジェット気流の話

おはようございます。
「行きは早かったのに、帰りはずいぶん時間がかかった」
海外旅行で、そう感じたことはありませんか。同じ距離を飛んでいるのに、行きと帰りで飛行時間が1時間以上違うこともあります。今日は、その主な理由である「ジェット気流」についてお話しします。
ジェット気流とは、上空を流れる強い風の帯
高いところには、西から東へ向かって流れる強い風の帯があります。これをジェット気流と呼びます。
場所や季節によりますが、その速さは非常に強く、飛行機の速度に無視できない影響を与えます。飛行機はこの空気の中を飛ぶので、風に押されたり、逆に押し返されたりします。
追い風なら速く、向かい風なら遅くなる
ジェット気流は、西から東へ流れています。ここがポイントです。
- 東へ向かう便(たとえば日本からアメリカへ)は、この風を背中から受けます。追い風になり、対地速度が上がって、早く着きます
- 西へ向かう便(アメリカから日本へ)は、この風に正面から向かいます。向かい風になり、対地速度が下がって、時間がかかります
同じ路線でも、行きと帰りで時間が変わるのは、この風の向きが大きな理由です。船が川を下るときと、さかのぼるときの違いに似ています。
パイロットは、風を読んで経路を選ぶ
私たちは、この気流をただ受け入れているわけではありません。
東へ向かうときは、なるべく強い追い風をつかまえられる経路や高度を探します。逆に西へ向かうときは、向かい風がいちばん弱いところを選んで、飛行時間と燃料をなるべく節約します。
毎回のフライトで、その日の風の予報を見ながら、どの高度・どの経路が有利かを検討します。目に見えない風を読むことも、操縦の大事な仕事の一つです。
とくに太平洋のような広い海の上では、その日の風に合わせて、飛ぶ経路があらかじめ決められています。これは「太平洋経路システム(PACOTS)」と呼ばれ、追い風をうまくつかまえ、悪天候を避けられるように、毎日引き直されます。多くの便がこの決められた経路に沿って飛ぶため、フライトレーダー24のような航空機の追跡サイトで見ると、太平洋を渡る飛行機が一直線に並んで見えることがあります。あの列は、みんながその日いちばん条件の良い道を通っている、という結果なのです。
揺れの原因になることもある
ジェット気流は、速さが役に立つ一方で、その境目では空気の流れが乱れ、揺れの原因になることもあります。
強い流れと、そうでない空気がぶつかるところでは、乱気流が起きやすくなります。予報や情報をもとに、そうした揺れやすい場所を避けることも、あわせて考えています。
おわりに
行きと帰りで飛行時間が違う主な理由は、上空を流れるジェット気流です。追い風なら速く、向かい風なら遅くなります。
次に飛行機に乗るときは、行きと帰りの所要時間を比べてみてください。その差の中に、目に見えない大きな風の流れが隠れています。




