飛行機はなぜ白いのか。あの塗装に隠された、いくつもの理由

おはようございます。
空港で並ぶ飛行機を眺めていて、ふと思ったことはないでしょうか。「どうして、どの飛行機も白いんだろう」と。
会社ごとに尾翼のデザインは違っても、胴体はたいてい白が基調です。実はこれ、デザインの好みではありません。きちんとした理由がいくつもあります。今日はその話をして行きます。
理由その1:熱を跳ね返すため
一番大きな理由は、太陽の熱です。
白は光を反射し、黒は光を吸収します。夏の炎天下、黒い車のボンネットが触れないほど熱くなるのに対し、白い車はまだ触れる。あれと同じことが、飛行機でも起きます。
駐機中の機体は、真夏の空港で長時間、直射日光にさらされます。もし機体が黒かったら、内部の温度は跳ね上がり、エアコンで冷やすのに余計な燃料を使うことになります。白い塗装は、地味ですが確実に燃費を助けているのです。
理由その2:軽いから
意外に思われるかもしれませんが、塗料の重さも無視できません。
旅客機一機を塗装するには、数百キロもの塗料を使います。濃い色や特殊な色を出すには、下地を塗り重ねる必要があり、そのぶん重くなります。白は比較的少ない塗り重ねで仕上がるため、機体を軽く保てます。
飛行機の世界では、1キロの軽量化が生涯にわたる燃料の節約につながります。「たかが塗料」ではないのです。
理由その3:異常を見つけやすい
これは、私たちが安全を守るうえでとても大切なポイントです。
整備士やパイロットは、飛行前に機体の外周を歩いて点検します。このとき、機体が白いとオイルのにじみ、亀裂、へこみ、鳥がぶつかった跡などが、はっきりと目立ちます。濃い色の機体だと、こうした異常が影に紛れてしまうのです。
白い機体は、いわば「異常が浮かび上がるキャンバス」の役割を果たしています。
理由その4:色あせしにくい
飛行機は、地上とは比べものにならない紫外線を浴び続けます。濃い色は褪せると見た目にみすぼらしくなりますが、白はもともと明るいため、劣化が目立ちにくい。
塗り直しの回数が減れば、その間、機体は飛べます。整備の効率にも直結する話です。
それでも特別塗装機が飛ぶ理由
ここまで白の合理性を書いてきましたが、皆さんもご存知の通り、キャラクターを描いた特別塗装機も飛んでいます。
あれは、合理性を承知の上で「それでも人を笑顔にしたい」という会社の意思です。少し重くて、少し手間がかかる。それでも、空港でお子さんが目を輝かせる姿を見ると、あの塗装には計算できない価値があると感じます。
おわりに
何気なく見ていた白い機体に、燃費、重量、安全、整備と、これだけの理由が詰まっています。
飛行機は、見た目のほとんどすべてに理由がある乗り物です。次に空港へ行かれたら、機体の白を少しだけ違う目で眺めてみてください。きっと、もっと面白く見えてくるはずです。
